陸と海は違う。そんな当たり前のことを・・・。

肌寒くなるのにつれ、日焼けがだんだん薄くなってきました。気温に比べ、水温はそんなにすぐには下がらないので、気温<水温の時期になっています。あと1ヶ月もすると早朝に海から湯気が出始めるでしょう。

ボートのスピードで秋風がウェットスーツにまとわりつくと、寒がりの女性ならすでにテンション低めです。ジャイアントストライドで飛び込むと、瞬間に暖かな潮に包まれます。今年は10月下旬でも25度と、なかなか水温が下がりません。まるでお風呂のように感じるかもしれません。その心地よさにダイバーは口々に「うわー、あったかい!」と嬌声をあげるのです。

陸と海とは違う。
秋はそんなアタリマエのことを一番わかりやすく伝えてくれる季節なのかもしれません。

藍い水には、生命たちが躍動しています。

蜂のように群舞するキンメモドキとイシモチ塊の中に、大人の胴まわりほど太いモロコがひそんでいます。僕は息を殺すようにゆっくり近づき、図体の割に臆病な彼の忍耐力との均衡が破られないことを願いながら、カメラを持つ手をいっぱいに伸ばします。

海中洞窟の陰で静かに佇むその巨躯は、人を襲わないと解っていても、これまで乗り越えてきた半生を否が応でも想像してしまい、その周りだけ重い密度を感じて近づけません。
野生に対する畏怖。これもまたダイビングから離れられない魅力の一つだと僕は思います。

他の季節に聞くのとはまた違った重さを持つ一言

背負った空気を文字通り、全て水の泡にして水面に浮上します。
途端に冷気が体を包み、今までいた海がなんと暖かだったことを実感します。
そしてレギュレータを口から外し、山の温度の空気を胸いっぱいに吸い込んで、僕らは思うのです。

「海の方がいい」と。
それは他の季節に聞くのとはまた違った重さを持つ、一言です。

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